Liberal Radicalism: A Flexible Design For Philanthropic Matching Funds
We propose a design for philanthropic or publicly-funded seeding to allow (near) optimal provision of a decentralized, self-organizing ecosystem of public goods. The concept extends ideas from Quadratic Voting to a funding mechanism for endogenous community formation. Citizens make public goods contributions to projects of value to them. The amount received by the project is (proportional to) the square of the sum of the square roots of contributions received. Under the "standard model" this yields first best public goods provision. Variations can limit the cost, help protect against collusion and aid coordination. We discuss applications to campaign finance, open source software ecosystems, news media finance and urban public projects. More broadly, we relate our mechanism to political theory, discussing how this solution to the public goods problem may furnish neutral and non-authoritarian rules for society that nonetheless support collective organization. (DeepL)我々は、公共財の分散化された自己組織化エコシステムを(ほぼ)最適に提供するための、慈善事業または公的資金によるシーディングの設計を提案する。このコンセプトは、二次投票からのアイデアを、内発的なコミュニティ形成のための資金調達メカニズムに拡張したものである。市民は、自分にとって価値のあるプロジェクトに対して公共財の寄付を行う。プロジェクトが受け取る金額は、受け取った寄付の平方根の合計の二乗に(比例して)なる。標準モデル」のもとでは、これによって公共財の提供はまずまずのものとなる。バリエーションは、コストを制限し、談合から保護し、協調を助けることができる。選挙資金、オープンソースソフトウェアのエコシステム、ニュースメディアの資金調達、都市の公共事業への応用について議論する。より広範には、このメカニズムを政治理論に関連づけ、公共財問題に対するこの解決策が、中立的で非権威主義的な社会のルールを提供し、それにもかかわらず集団組織を支持する可能性があることを議論する。
(GPT-3.5)私たちは、慈善的または公的資金提供に対する設計を提案します。これにより、分散化された自己組織化型の公共財の生態系が(ほぼ)最適な状態で提供されるようにします。この概念は二次投票から、内生的なコミュニティ形成のための資金調達メカニズムにアイデアを拡張します。市民は彼らにとって価値のあるプロジェクトに公共財の貢献を行います。プロジェクトが受け取る金額は、受け取った貢献の平方根の合計の二乗に(比例して)なります。この「標準モデル」では、これが最適な公共財の提供をもたらします。変形はコストを制限し、共謀に対する保護を助け、調整を支援することができます。キャンペーン資金、オープンソースソフトウェアエコシステム、ニュースメディアの資金、都市の公共プロジェクトへの適用について議論します。さらに広く、私たちのメカニズムを政治理論に関連付け、この公共財問題への解決策が、中立で独裁的でない社会のルールを提供し、それでいて集団組織を支援する可能性があるかについて議論します。 nishio.icon内容を解説して
claude.iconこの論文は、公共財の最適な供給を実現するための新しいメカニズムとして「リベラル・ラディカリズム (Liberal Radicalism; LR)」を提案しています。
主なポイントは以下の通りです。
公共財の供給に関して、資本主義的な任意の寄付メカニズムでは過少供給になり、1人1票の多数決メカニズムではマイノリティの選好が反映されないという問題がある。
LRメカニズムでは、各人が公共財に対して寄付をすると、その公共財への資金提供額が寄付額の平方根の2乗に比例する。つまり、多数の小口寄付が大口寄付に比べて優遇される仕組み。
完全情報下の標準的な経済モデルでは、LRメカニズムによって公共財の最適供給が実現されることが示される。
LRの変形として、予算制約のあるケースや、マイナスの寄付を認めるケース、指数関数の形を変えたケースなども分析されている。
共同体の形成を内生的に扱える点がLRの利点。ただし談合への対策は課題。
選挙資金、オープンソースソフトウェア、ニュースメディア、都市の公共事業などへの応用可能性を論じている。
哲学的には、リベラリズムの理念を共同体主義・多文化主義の批判に応えつつ実現する枠組みとしてLRを位置づけている。
以上のように、LRメカニズムによって公共財供給の効率性と民主性の両立を図ろうとする野心的な論文と言えます。理論・応用・思想の各面で示唆に富んでいます。
nishio.iconLRとQVの関係は?
claude.iconLRメカニズムは、Quadratic Voting (QV)と呼ばれる仕組みを公共財供給の文脈に応用・拡張したものだと理解できます。
QVは、集合的意思決定の際に、各人が提案への賛成票を「購入」できるようにし、票数の2乗に比例した金額を支払うルールを導入することで、選好の強度を反映しつつ少数派の意見も尊重する仕組みです。例えば2票を買うには4単位のお金がかかります。QVについては、著者のWeyl (2012)の論文などで提案・分析されています。
LRメカニズムでは、各人の寄付額をQVにおける票の購入に対応させ、寄付合計額の平方根の2乗を公共財の供給水準とすることで、QVの考え方を公共財供給問題に適用しています。
このように、QVからLRへの発展は、集合的意思決定ルールから公共財供給メカニズムへの自然な拡張と位置付けられます。LRの基本的発想は、各人の選好をお金で表明させるというQVの考え方を応用したものだと言えるでしょう。
ただしLRでは、QVとは異なり、意思決定ではなく公共財の資金調達という問題を扱っているため、寄付額と供給水準の関係式など、仕組みの詳細は異なっています。また共同体形成など、公共財供給に特有の問題にも踏み込んでいる点が特徴と言えます。
nishio.iconQuadratic Fundingとの関係は?
claude.iconご指摘の通り、リベラル・ラディカリズム(LR)メカニズムは、Quadratic Funding (QF)とも密接に関連しています。QFは、Gitcoinを始めとする一部のWeb3プロジェクトで実際に採用されている仕組みで、LRの考え方を簡略化したものと位置付けられます。
QFでは、各人の寄付額の平方根の和を取り、それを2乗することで、プロジェクトへの資金提供額を決定します。つまり、資金提供額は個人の寄付額の平方根に比例するという点で、LRメカニズムと共通しています。
QFがLRと異なる主な点は、以下の2つです。
QFでは通常、資金提供額と個人の寄付額の差額を、「マッチングプール」と呼ばれる外部の資金プールから拠出します。これに対しLRでは、差額を参加者から広く徴収することを想定しています。
QFの理論的定式化や分析は、LRほど厳密ではありません。LRの論文では、メカニズムの効率性やロバスト性などが、ゲーム理論や厚生経済学の枠組みで詳細に分析されています。
以上のように、QFはLRの基本的アイデアを簡略化し、利用可能性を高めた仕組みだと言えます。Web3の文脈では、QFの方が知名度は高いかもしれません。他方、理論的基礎という点ではLRの方が優れており、QFはLRの一種の応用事例と見なすこともできるでしょう。
LRとQFは、公共財供給メカニズムの民主化という共通の問題意識を持ちつつ、理論的厳密性と実用性のバランスを異なる点で取っていると言えそうです。ご質問の通り、LRを出発点として、QFとの関係を明確に意識しながら議論を進めることは有益だと思います。
nishio.iconLRとCLRの関係は?
LRの基本的なアイデアは、各人の寄付額の平方根の和を2乗した値を、公共財の資金提供額とすることです。しかし、このルールをそのまま適用すると、総寄付額を上回る資金提供が必要になるケースがあり、現実的ではありません。
そこでCLRでは、LRによる資金提供額とその財源となる総寄付額とのギャップを、あらかじめ設定された予算制約の範囲内に収めるように調整します。具体的には、CLRの資金提供額は、LRの資金提供額と総寄付額の加重平均になるように設計されます。
LRとCLRの主な違いは以下の通りです。
CLRでは、資金提供額が外生的に与えられた予算制約の範囲内に収まるのに対し、LRには明示的な予算制約がない。
CLRの資金提供額は、LRの値と総寄付額の加重平均になる。LRへの接近度合いを表すパラメータを調整することで、予算制約を満たすことができる。
理論分析の結果、CLRはLRに比べて公共財の過少供給を招きやすいが、その度合いはLRパラメータの調整である程度コントロール可能であることが示されている。
現実的な実装可能性という点では、予算制約を組み込んだCLRの方が優れている。
以上のように、CLRはLRの現実的な実装を目指して、予算制約への対応を組み込んだメカニズムだと言えます。基本的な考え方はLRと共有しつつ、実行可能性を高めているのがポイントです。
論文中の議論からは、LRの理念的な優位性と、CLRの実践的な有用性のバランスを取ることの重要性が読み取れます。アイデアの実装を見据えるなら、CLRの方が有望かもしれません。ただし、LRの効率性保証を損なわない程度にパラメータ設計する必要があるでしょう。LRとCLRは、理論と実践のバランスを探る上で、重要な2つの参照軸になると思います。